No.06

 


いつ眺めても派出所にはお巡りさんの姿はないことの方が多く

私はそこにある重要指名手配容疑者のポスターをチラ見しながら通り過ぎます。


小さな犯罪

大きな事件

事故

世界を揺るがすニュースがあり

誰かが涙を流し

ネットには陰謀論が流れ

噂話は棘があって少しだけ興味深く

知りすぎると疲弊してしまう。


時間が無限にあると感じた日ほど、わたしは誰かの生と死と

そこにあったであろう感情やその生活をなぞろうと必死になり

その中に自分を見つけようとしてしまいます。


犯罪者、芸能人、誰かの日常に潜り込んで、自分を探そうとするのだけれど

結局見つからないということを繰り返して

自分と向き合う行為を続けています。


そしていつか忘れる。

その人の顔も名前も時間と共に忘れ去られるというのに

私だけが取り残されたように

次の物語に自分を探しているのかもしれない。

そういうメランコリックな瞬間を、なぜだかとても大切にしています。


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