No.05 ペリカンの視線
ボックスの窓はひし型に開いていて
その手前にいたペリカンは何かを凝視していた。
長野県のとある小さな動物園のペリカン池を訪れたのは
2023年の秋ごろ、この日は平日だったのもあり人の姿はまばらで私はその場所の少し寂しい空気をとても心地よいと感じていました。
しかしながら、撮った写真に写るペリカンの目はあまりにも空虚なまん丸の瞳をしているので
私はなんとなく
その日の記憶以上にこの空気をさびしいと感じてしまうのでした。
こういう、人間の勝手な想像力に捕食されるのは主に
動物や植物
空、海、山などのいわゆる景色といった
わたしとは離れた場所に存在するものたちのことも多く
このエモーショナルな状況に何か名前をつけようにも言葉が見つからないのは確かです。
写真を撮りながら、その映らなかったものを探すような
もしくはそんな風に思い込んでいるものの姿を
私も見ている。
見るもの、見たもの、見られるもの
見なかったもの、はたまたそんなものは元から存在していないような
ただの出来事
私はしばし感じるのをやめ、また考える。
2023年の記憶を2024年になってもいまだ探しています。
ちなみにこのペリカン池には他にもアヒルがいて
(こいつは餌をくれるか/くれないか)を瞬時に嗅ぎ分け
わたしのそばをゆっくりと離れていきました。
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